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海外の客船資料オークション事情
ヨーロッパでは、ヴァイキング、大航海、植民地競争等の各時代と新大陸への移動や二十世紀の海戦など、 海と船を背景とした長い歴史を経験している。 従って一般の人達にも、身の回りのどこかでそれらと接点を持つ場合が多く、身近なものとして、とらえられ ている。 特にイギリスにその傾向が強く、同じ海洋島国の我々とはまるで認識が違うようである。 オークションの本場英国では古くから「船と海洋」に関する様々な品物が、美術オークション会社の一セール部門となっている。 ロンドンには世界の四大競売会社といわれているクリスティーズ、サザビーズ、フィリップスとボナムがあり、各社が美術品カテゴリーとして”マリンセール”或いは”マリタイムセール”の名称でパブリックセールが行われています。 ご承知のようにオークションとは、一般の人が競売会社に品物を委託し、公開入札の手法で行われる。業者との個人的な取引とは異なり、そこに参加するのは愛好家、収集家、投資家はもとより専門業者、そして公私の博物館、美術館にまで及ぶ。業者間だけの場で秘密裏に行われるわが国のそれとは違い、自由競争を建前とするフェアな市場形態です。 時には美術館や博物館が出品者側になる場合もあり、収蔵品の一部を出品して新たな購入資金を獲得したりもするのです。又思いがけず優れた品物がごっそりまとめて出品されることもあります。 先年こんな事がありました。 伝統を誇る英国の名門造船所、スワンハンター社が閉鎖されましたが、同社が所有していた素晴らしい軍艦や客船の精密模型とともに貴重な資料が一括してクリスティーズに登場など、関係者は常にオークションを注目しています。 マリンオークションに出品される品目はといいますと、先ず船上に在った物品および関係資料、船舶模型、海洋絵画に大別され、有名客船のものはそれぞれの部門に散見出来ます。 タイタニックやノルマンディーのものは別にコーナーを設けて行われますが、毎回のことではありません。 各部門ごとに熱心なコレクターが集まり、下は数千円のポストカードから上は数千万円の模型や絵画の値段の行方を見守ります。 欧米のアンティーク業界では客船資料を含む海洋モノのマーケットが確立しており、かなりの市場規模で取引が行われている。 客船モノでは我々日本の愛好家が想像すら出来ないほどの高額品があり、その顕著な例として挙げられるのがタイタニックとノルマンディーに関するもの、後者はその特集で触れてみたいと思います。 で、タイタニック。英国のディーラ共々驚かされたのが、1992年クリスティーズがはじめて特集を組んで開いた時の事。それぞれにカタログを手にした人達の熱気で会場は包まれていました。
葉書大の薄紙を一束にまとめた物が出品されましたがこれは、12日から15日にかけてタイタニック船上で発受信された無線記録の束で、エスティメイト(予想落札額)はそれでも約160万円、ところがどんどん競り上がり、遂には10倍の1600万円を超える価格で落札。この時会場は拍手とどよめきに包まれ、この様子はTV放映で世界に配信されて当時の話題になりました。 この時同時に一枚のポストカードとしては、最高値を記録したものもあります。 三等乗客のトムリン氏が船内売店で買い求め、クィーンズタウン寄港時に妹宛てに送ったもので彼は帰らぬ人となったが、この日付け入りの絵葉書は実に80万円近い値がつきました。 タイタニックのポストカードは、これまで少々高くとも比較的手に入り易かったものが、この時から高値になってしまった。客船を愛する者なら一枚はコレクションしてみたいと思う、しかしこれらタイタニックものに対する英国人の金銭評価は我々にはとても理解できるものではない。加えて例の映画で新たに関心を寄せる人たちが増え、ますますコレクションが難しくなった、がそんなことは英国人にまかせておこう。 勿論こんなものばかりではなく、安価で楽しくコレクションできる、美しい客船モノは沢山あります。 オークションは海洋モノに限らず、その時代を反映しているところがあり、価格変化を見ていると面白いものです。 オークション会社の特徴とスケジュールなど。
クリスティーズ社 ロンドン会場:春秋年二回開催〜総合的で多彩な品目、海洋絵画、船舶模型、船舶資料、帆船物等が充実。 ニューヨーク会場:年一回、秋に開催〜CGTやUSL等、客船関連品が充実。 アムステルダム会場:春秋年二回開催〜大航海時代物やVOC関連が充実。 サザビーズ社 ロンドン会場:年一回開催〜帆船道具、海洋絵画、帆船模型等が充実。 フィリップス社 ロンドン会場:年一回開催〜テーマを絞った出品で、今年はネルソン提督や英仏戦争物を出品。 ボナム社 ロンドン会場:不定期開催〜出品数は多くないが、コレクターの一括出品等がある。 これ以外に、オーシャンライナーだけのオークションがあり、ロンドンではオンスロー社のもの、又パリでは、ノルマンディーのコレクターとして世界的に知られるレネ・ビアン氏が主催するものなどがあります。 オークションで目指す品物をリーズナブルに入手するのは難しい! どんなアイテムにも必ず競争相手がいる。外貨レートと落札後に支払う15%のコミッションを計算しながら、自分の番号札を、どのタイミングで挙げ、無理ならどこで降ろすか、ことに一対一になった場合は瞬時の判断が要求される。後で、しまった追いかけ過ぎて高いものになった、などは、ありがち、 また、予想価格が安く、これで手に入ればいいなぁと思うようなものは他人もそうらしく、あっという間に その額を通り過ぎてしまう。何度経験してもその都度緊張します。 しかし、それが又楽しみでもあるのです。 |